「相続登記の必要書類リストに『住民票の除票』とあるけれど、これは普通の住民票とどう違うのか」。

亡くなった親の住民票を取りに行ったら「もう抹消されているので『除票』を発行します」と言われた——という方も多いです。

実は、住民票の除票は相続手続きで頻繁に登場する書類で、取得方法も普通の住民票と少し違います。さらに、古い相続では「保存期間が過ぎて取れない」というケースもあり、その場合の代替手段を知っておくとスムーズに進められます。

この記事で分かること。

  • 住民票の除票とは何か、相続手続きで必要な場面
  • 取得手順5ステップ
  • 取得できないときの対処(戸籍の附票・上申書)
  • 戸籍の附票との使い分け
  • 郵送請求の手順

戸籍の取得については相続登記に必要な戸籍の集め方、必要書類の全体像は相続登記で最初に集める書類一覧を参照してください。

結論:住民票の除票と相続手続きでの必要性

住民票の除票とは、亡くなったり転出したりして住民登録から抹消された住民票のことです。死亡した方の場合、住所地の市区町村役場で「除票」として発行されます。

相続手続きで住民票の除票が必要になる主な場面

場面用途
相続登記被相続人の最後の住所と登記簿上の住所の一致を証明する
預貯金の解約金融機関で死亡を確認する書類の1つとして
株式・有価証券の名義変更証券会社の手続きで使用
相続税の申告確認書類の一例として(必須書類は税務署・案件で異なる)

特に相続登記では、被相続人の最後の住所が登記簿上の住所と一致しない場合に、住所の移動履歴をたどって証明する必要があり、住民票の除票が必須になります。

保存期間は150年に延長された

ここがポイントです。住民票の除票の保存期間は、住民基本台帳法施行令の改正により、令和元年(2019年)6月20日から 5年 → 150年に延長されました。

ただし、平成26年(2014年)6月19日以前に除票となったものは保存年限を超えているため、原則として取得できません。それ以降の除票は150年保存される計算です。

取得手順5ステップ

住民票の除票の取得は、次の5ステップで進みます。

ステップ1: 最後の住所地の市区町村を確認

被相続人の最後の住所地が分からないと請求できません。葬儀のときの住所、年金通知書、健康保険証などで確認します。

ステップ2: 必要書類を準備

請求者の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)と、被相続人との関係を証明する書類(戸籍謄本など)を用意します。

ステップ3: 役所の窓口または郵送で請求

最後の住所地の市区町村役場(市民課・住民課)の窓口、または郵送で請求します。郵送の場合は手数料分の定額小為替と返信用封筒が必要です。

ステップ4: 手数料を支払う

1通あたり 300円程度(自治体によって 200〜400円の幅)。郵送なら定額小為替を同封します。

ステップ5: 受け取り

窓口なら即日、郵送なら 1〜2週間程度が目安です。

必要書類と手数料

請求時に必要な書類を整理します。

書類詳細
本人確認書類運転免許証・マイナンバーカード・パスポート(顔写真付き)など
被相続人との続柄を証明する書類戸籍謄本(請求者と被相続人が同じ戸籍にあるなら不要なケースも)
手数料1通 300円程度(自治体差あり)
委任状(代理人が請求する場合)相続人本人が請求する場合は不要

正直なところ、相続人本人が請求する場合は委任状不要ですが、自治体によっては関係を証明する書類の提示を求められるため、戸籍謄本を持参するとスムーズです。

取得できないケースの対処(戸籍の附票・上申書)

平成26年6月19日以前に除票となっているケースなどでは、住民票の除票が取れないことがあります。その場合の代替手段は2つです。

代替1: 戸籍の附票

戸籍の附票とは、戸籍に記載されている方の住所の履歴を記録した書類です。本籍地の市区町村役場で取得できます。

戸籍の附票も令和元年6月20日から保存期間が 5年→150年に延長されました。住民票の除票が取れない場合でも、戸籍の附票で住所の連続性を証明できることが多くあります。

代替2: 上申書(じょうしんしょ)

戸籍の附票も取れない場合は、相続人が「被相続人の最後の住所は確かに登記簿の住所だった」という旨を上申書(陳述書)として法務局に提出します。

上申書には次の内容を含めます。

  • 被相続人の氏名・本籍地・登記簿上の住所
  • 最後の住所地が登記簿上の住所と同じであることの陳述
  • 相続人全員の署名・実印
  • 印鑑証明書を添付

意外だったのが、上申書が認められれば、住民票の除票や戸籍の附票が取れなくても相続登記を進められる場合がある点です。受理の可否は法務局の判断によるため、案件によっては追加書類や別資料の提出を求められることがあります。司法書士に依頼すれば、上申書の作成・提出と法務局との折衝までサポートしてもらえます。

戸籍の附票との使い分け

住民票の除票と戸籍の附票は、似ているようで使い分けがあります。

項目住民票の除票戸籍の附票
取得先最後の住所地の市区町村本籍地の市区町村
記載内容最後の住所の情報のみ戸籍が編製されてからの住所履歴
主な用途死亡時の住所確認住所変更履歴の証明
保存期間150年(2019年改正)150年(2019年改正)

相続登記で「最後の住所が登記簿上の住所と異なる」場合、住民票の除票だけでは過去の住所までさかのぼれません。戸籍の附票を使って住所の連続性を証明する流れになります。

判断に迷う場合は、登記簿謄本を取り寄せて「登記簿の住所」と「最後の住所」を見比べると、必要な書類が見えやすくなります。

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郵送請求の手順

遠方の市区町村に郵送で請求する場合の手順を整理します。

用意するもの

  • 請求書(自治体のサイトからダウンロードまたは便箋に手書きでも可)
  • 本人確認書類のコピー(運転免許証・マイナンバーカードの両面)
  • 被相続人との続柄を証明する書類のコピー(戸籍謄本など)
  • 手数料分の定額小為替(郵便局で購入、1通300円なら300円分)
  • 返信用封筒(切手貼付・宛先記入済み)

請求書の記載事項

  • 必要な書類の種類(住民票の除票の写し)と通数
  • 被相続人の氏名・最後の住所・死亡年月日
  • 請求者の氏名・住所・電話番号
  • 被相続人との関係(続柄)
  • 使用目的(相続登記のため など)

送付先

最後の住所地の市区町村役場の市民課(住民課)宛て。サイトで「住民票 除票 郵送請求」と検索すると、自治体の案内ページが見つかります。

所要日数

到着から発送まで 1週間〜10日程度が一般的です。混雑時期や書類不備があるとさらにかかります。

よくある誤解と注意点

誤解1: 住民票の除票は本籍地で取れる

戸籍関連の広域交付制度(戸籍法施行規則の改正で2024年から本籍地以外でも交付可能になった制度)と混同されがちですが、住民票の除票は戸籍ではなく住民基本台帳の記録です。被相続人の最後の住所地(住民登録があった市区町村)でのみ取得できます。本籍地で取れるのは戸籍の附票です。

誤解2: 何通でもまとめて取得できる

役所によっては、1人1請求での通数制限がない場合と、上限がある場合があります。相続登記・預貯金解約・税金申告など複数の用途に使う場合は、必要通数を事前に確認してから請求するとスムーズです。

誤解3: 死亡直後にすぐ取れる

死亡届が受理されてから住民票が除票になるまで、自治体の処理で 1〜2週間程度かかることがあります。死亡直後に請求すると「まだ除票になっていない」と言われるケースもあるため、葬儀後 2週間程度を目安に動くのが現実的です。

よくある質問(FAQ)

住民票の除票はマイナンバー入りで取得できますか?

相続手続きで使う住民票の除票は、マイナンバーの記載が不要なケースがほとんどで、自治体側でも安全面から原則「マイナンバーなし」で交付されます。マイナンバー入りが必要な場面は限定的なため、特別な事情がなければ「記載なし」で請求するのが基本です。

住民票の除票を代理人が請求できますか?

相続人以外の代理人が請求する場合は委任状が必要です。司法書士・行政書士・弁護士などの専門家に依頼する場合も委任状を作成します。相続人本人が請求するなら委任状は不要です。

平成26年以前の除票が必要な場合はどうすればよいですか?

戸籍の附票で代用するか、それも取れない場合は上申書(相続人による陳述書)で対応します。司法書士に相談すると、上申書の作成と法務局提出までサポートしてもらえます。

住民票の除票と除住民票は同じものですか?

実務上は同じ意味で使われます。正式名称は「住民票の除票」で、自治体によっては「除住民票」と表記することもあります。請求書で迷ったら「住民票の除票の写し」と書けば通じます。

外国籍の被相続人の住民票の除票は取れますか?

特別永住者証明書または在留カードを持って住民登録していた方の除票は、日本人と同じく市区町村役場で取得できます。記載事項に国籍・在留資格などが含まれます。

まとめ

住民票の除票は、亡くなった方の住民登録が抹消された住民票で、相続登記・預貯金解約・税申告など多くの相続手続きで必要になります。

取得先は被相続人の最後の住所地の市区町村役場、手数料は 1通300円程度。窓口でも郵送でも請求できます。

保存期間は2019年6月20日施行の法改正で 5年→150年に延長されました。ただし平成26年6月19日以前に除票となったものは保存年限を超えているため取得不可です。

取れない場合の代替手段は次の2つです。

  • 戸籍の附票(本籍地で取得、住所履歴の証明)
  • 上申書(相続人による陳述書、印鑑証明書を添付)

判断に迷う場合は、司法書士・行政書士・弁護士など複数の専門家に相談して見積もりを比較してから依頼先を決めるのも一つの方法です。

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法律・税務の個別アドバイスではありません。具体的には司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。記載内容は記事公開時点の情報に基づいています。

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