相続登記に必要な書類の全体像

相続登記の申請には、思った以上に多くの書類が必要です。ただし、一度にすべて揃える必要はありません。少しずつ集めていけば大丈夫です。 必要な書類は大きく分けると、以下の4つのグループに分かれます。

  • 亡くなった方(被相続人)に関する書類
  • 相続人に関する書類
  • 不動産に関する書類
  • 遺産分割に関する書類 それぞれ何が必要で、どこで取得できるかを順番に見ていきましょう。

被相続人に関する書類

亡くなった方について、以下の書類を準備します。 戸籍謄本(出生から死亡まで)は、相続人が誰かを法的に証明するために必要です。出生から死亡まで途切れなく連続した戸籍が求められます。婚姻や転籍で本籍地が変わっている場合は、それぞれの市区町村から取り寄せます。1通あたり450円(除籍謄本・改製原戸籍は750円)です。 住民票の除票(または戸籍の附票)は、亡くなった方の最後の住所を証明するために必要です。登記簿上の住所と照合する目的があります。市区町村の窓口で取得でき、1通200〜400円程度です。 なお、2024年3月1日から「広域交付制度」が始まり、本籍地以外の最寄りの市区町村窓口でも戸籍謄本を取得できるようになりました。遠方の本籍地がある場合は、この制度を利用すると便利です(ただし、一部取得できないものもあるため、窓口で確認してください)。

相続人に関する書類

相続人全員について、以下の書類が必要です。 戸籍謄本は、相続人全員の現在の戸籍を取得します。被相続人の戸籍から相続人の範囲を確認したうえで、それぞれの相続人が現在も生存していることを証明するためのものです。1通450円です。 住民票は、不動産を取得する相続人のものが必要です。登記簿に新しい所有者の住所を記載するために使われます。マイナンバーが記載されていないものを取得してください。1通200〜400円程度です。 印鑑証明書は、遺産分割協議書に押した実印が本物であることを証明するために必要です。市区町村の窓口またはコンビニ(マイナンバーカードがあれば)で取得でき、1通200〜400円程度です。発行から3か月以内のものが求められる場合が多いので、取得のタイミングに注意してください。

不動産に関する書類

対象となる不動産について、以下を準備します。 固定資産評価証明書は、登録免許税(登記にかかる税金)を計算するために必要です。不動産が所在する市区町村の税務課で取得します。1通200〜400円程度です。毎年届く固定資産税の納税通知書に記載されている評価額でも確認できますが、法務局に提出するのは評価証明書です。 登記事項証明書(登記簿謄本)は、現在の登記内容を確認するために取得します。法務局の窓口で1通600円、オンライン請求なら480〜500円です。必須ではありませんが、申請書を正確に作成するために取得しておくことをおすすめします。 不動産が複数ある場合は、すべての不動産について書類を揃える必要があります。見落としがないよう、固定資産税の納税通知書や、市区町村で「名寄帳」(その人が所有する不動産の一覧)を取得して確認しましょう。

遺産分割に関する書類

相続人が複数いて、話し合いで不動産の取得者を決めた場合は、遺産分割協議書が必要です。 遺産分割協議書には、誰がどの不動産を取得するかを明記し、相続人全員が署名・実印で押印します。決まった書式はありませんが、不動産の表示(所在、地番、家屋番号など)は登記簿の記載と一致させる必要があります。 遺言書がある場合は、遺産分割協議書の代わりに遺言書を提出します。自筆証書遺言の場合は家庭裁判所の検認済みのもの、または法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用したものが必要です。公正証書遺言の場合はそのまま使えます。 法定相続分どおりに登記する場合(たとえば兄弟2人で2分の1ずつ)は、遺産分割協議書は不要です。ただし、その場合でも相続人全員の戸籍謄本は必要です。

書類の取得費用の目安

すべての書類を集めるのにかかる費用は、相続の状況によりますが、おおむね以下の範囲です。

  • 戸籍関連(被相続人の出生〜死亡、相続人全員分): 3,000〜10,000円程度
  • 住民票・印鑑証明書: 1,000〜2,000円程度
  • 固定資産評価証明書: 200〜400円(不動産の数による)
  • 登記事項証明書: 500〜600円(確認用) 合計で5,000円〜15,000円程度が一つの目安です。これに加えて、登記申請時に登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)がかかります。 郵送で戸籍を請求する場合は、定額小為替の手数料(1枚200円)や郵送料も加わります。

まとめ:まず何から集めればよいか

書類が多くて戸惑うかもしれませんが、まず始めるなら以下の2つです。

  • 被相続人の最後の本籍地の市区町村に連絡し、死亡の記載がある戸籍謄本を請求する
  • 固定資産税の納税通知書を手元に用意する この2つがあれば、相続人の範囲と対象不動産の見当がつきます。戸籍は本籍地をたどって順番に集めていくことになるので、時間に余裕を持って取りかかるのがおすすめです。 広域交付制度を使えば最寄りの窓口で取得できる場合もありますので、まずは近くの市区町村役場に相談してみてください。

よくある質問

Q戸籍謄本は何通必要ですか?
A被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要です。転籍や婚姻で本籍地が変わっている場合は、それぞれの市区町村から取得する必要があり、数通から十数通になることもあります。
Q書類の取得にどれくらいの費用がかかりますか?
A戸籍謄本1通450円、除籍謄本1通750円、住民票1通200〜400円程度です。すべて合わせると、数千円から1万円前後になることが多いです。
Q遠方の市区町村の戸籍謄本はどうやって取得しますか?
A郵送で請求できます。市区町村のウェブサイトから請求書をダウンロードし、定額小為替と返信用封筒を同封して送ります。また、2024年3月からは最寄りの市区町村窓口で他の市区町村の戸籍も取得できる広域交付制度が始まっています。

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的には司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。