相続登記は、必ずしも専門家に依頼しなければならないわけではありません。法務局に自分で申請することは法律上まったく問題なく、実際に自分で手続きを済ませている方も多くいます。

ただし、相続の状況によっては司法書士に任せた方がスムーズに進む場合もあります。

この記事では、自分で申請する場合と司法書士に依頼する場合を費用・手間・リスクの面から比較し、どちらを選ぶかの判断基準を整理しました。

まず費用の違いを確認する

比較項目自分で申請司法書士に依頼
費用登録免許税 + 書類取得費用のみ(1万〜3万円程度)上記 + 司法書士報酬(5万〜15万円程度)
所要期間1〜2か月程度(戸籍収集の時間を含む)1〜2か月程度(代行が多く体感的に早い)
自分の手間書類収集・申請書作成・法務局窓口書類の受け渡しと署名・押印が中心
向いているケース不動産が1つ・相続人が少ない不動産が複数・相続人が多い

登録免許税は、自分で申請しても司法書士に依頼しても同じ金額がかかります(固定資産税評価額の0.4%)。

自分で申請するメリットと注意点

自分で申請する最大のメリットは費用を抑えられることです。司法書士への報酬(5万〜15万円程度)がかからないため、その分を節約できます。

また、手続きの流れを自分で理解できるという利点もあります。今後、別の不動産の相続や家族の手続きを手伝う場面で役立ちます。

注意点は3つあります。

書類の不備があると「補正」を求められます。法務局から連絡が来て、修正や追加書類の提出を求められることがあります。補正自体は珍しくなく、対応すれば手続きを続けられますが、やり取りに時間がかかることがあります。

古い戸籍の読み取りが難しい場合があります。手書きで旧字体や変体仮名が使われていることがあり、読み解くのに苦労することがあります。

不動産の表示のミスに注意が必要です。申請書の不動産の表示(所在・地番・家屋番号)は、登記簿の記載と完全に一致させる必要があります。住所とは異なる場合があるため、登記事項証明書で確認してから書きましょう。

司法書士に依頼する場合の費用と流れ

司法書士に依頼した場合の報酬は、不動産の固定資産税評価額や件数によって変わるため一概には言えませんが、数万円〜というケースが多いです。以下の要素で変わります。

  • 不動産の数(土地と建物で別々にカウントされる場合がある)
  • 相続人の人数
  • 戸籍の収集を代行するかどうか
  • 遺産分割協議書の作成を含むかどうか

依頼した場合に自分がやることは「書類を渡す」「協議書に署名・押印する」「費用を支払う」の3つが中心です。手間はかなり軽減されます。

見積もりの段階で「報酬」と「実費(登録免許税・書類取得費用)」を分けて提示してもらうと比較しやすくなります。

どちらを選ぶかの判断基準

自分での申請に向いているケースです。

  • 相続人が少ない(配偶者と子1〜2人など)
  • 対象の不動産が1つだけ
  • 相続人の間で争いがない
  • 戸籍の取り寄せに時間をかけられる

司法書士への依頼を検討するとよいケースです。

  • 相続人が多い(兄弟が多い、代襲相続がある等)
  • 不動産が複数ある(土地・建物が別、複数の場所にある等)
  • 被相続人の戸籍が複雑(婚姻歴が複数、養子縁組がある等)
  • 相続人が遠方に住んでいて書類のやり取りが大変
  • 手続きに使える時間がない

迷った場合は、まず司法書士に相談してみるのも一つの方法です。初回相談を無料で受け付けている事務所もあります。相談したからといって必ず依頼しなければならないわけではなく、自分でできそうかどうかの感触をつかむためだけでも使えます。

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司法書士と弁護士の違い

相続の手続きに関わる専門家として、司法書士のほかに弁護士もいます。

相続登記(不動産の名義変更)の手続きを代行できるのは、司法書士と弁護士です。申請書類の作成から法務局への申請まで一貫して対応してくれます。実務上は司法書士が担当するケースが多いです。

弁護士は、相続人の間でトラブルが発生している場合に力を発揮します。遺産分割の交渉や調停、遺言の有効性を争う裁判などは弁護士の領域です。

「手続きを進めたい」なら司法書士、「争いを解決したい」なら弁護士、が基本的な使い分けです。まずは司法書士に相談し、争いがある場合は弁護士を紹介してもらう流れが一般的です。

まとめ

相続登記は自分でも申請できますが、状況によっては司法書士に任せた方が確実です。

  • 自分で申請: 登録免許税 + 書類取得費用のみ(1万〜3万円程度)
  • 司法書士に依頼: それに加えて5万〜15万円程度の報酬

判断のポイントは、相続人の数・不動産の数・争いの有無・手続きに使える時間の4つです。迷ったら、まず無料相談を利用して感触をつかんでから決めましょう。

よくある質問

Q相続登記を自分でやるのにどれくらい時間がかかりますか?
A書類の収集に2週間〜1か月、申請書の作成に数日、法務局の処理に1〜2週間が目安です。戸籍の取り寄せに時間がかかることが多いので、トータルで1〜2か月程度を見ておくと安心です。
Q司法書士への依頼費用はどれくらいですか?
A一般的な相続登記の場合、司法書士への報酬は5万〜15万円程度が目安です。不動産の数や相続関係の複雑さによって変わります。報酬とは別に、登録免許税や書類取得費用がかかります。
Q司法書士と弁護士、どちらに相談すべきですか?
A登記手続きだけなら司法書士が専門です。相続人の間で争いがある場合や、遺産分割の交渉が必要な場合は弁護士に相談するのが適切です。まずは司法書士に相談し、必要に応じて弁護士を紹介してもらう流れが一般的です。
Q書類の不備があったらどうなりますか?
A法務局から「補正」の連絡が来て、修正や追加書類の提出を求められます。補正自体は珍しくなく、修正すれば手続きを続けられます。ただし、不備の内容によってはやり取りに時間がかかることがあります。
Q相続人が遠方に住んでいて集まれない場合はどうすればいいですか?
A遺産分割協議書は郵送でやり取りして署名・押印することができます。ただし印鑑証明書は各相続人の現住所で取得が必要です。司法書士に依頼すると、書類のやり取りをまとめて代行してもらえる場合があります。

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的には司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。