家族が亡くなった直後、悲しみと混乱の中で最初に取り組むのが死亡届の提出です。
聞いたことはあるけれど、いざとなると「いつまでに、どこに、誰が」が分からない。葬儀社に任せていいのか、自分でやるべきなのかも判断がつかない——そんな声をよく聞きます。
死亡届の提出は戸籍法で 7日以内と定められていて、期限を過ぎると過料の対象になります。火葬許可証は死亡届と一体の手続きで、これがないと火葬ができません。
この記事で分かること。
- 死亡届の提出期限と3つの提出先
- 必要書類と書き方の注意点
- 火葬許可証発行までの流れ
- 葬儀社に代行依頼する判断基準
- 国外死亡や特殊ケースの対応
死亡後の相続手続き全体は相続登記とは?2024年義務化後にやるべきことの全体像、終活全体は終活で最初にやることリストを参照してください。
結論:7日以内、3つの提出先のいずれか
死亡届は、死亡の事実を知った日から 7日以内に提出する必要があります(戸籍法第86条第1項)。
提出先は次の3つのいずれかです。
| 提出先 | 用途・特徴 |
|---|---|
| 死亡地の市区町村役場 | 病院など実際に亡くなった場所の自治体 |
| 死亡者の本籍地の市区町村役場 | 戸籍管理の本拠地 |
| 届出人の住所地の市区町村役場 | 届出人が住んでいる自治体 |
「自分が住んでいる自治体に出さなければならない」という縛りはなく、いずれか1か所で受理されます。葬儀社の対応エリアや病院との距離で選ぶのが現実的です。
正直なところ、最も多いのは「死亡地(病院所在地)の市区町村」での提出です。病院の近くに葬儀社の事務所があり、葬儀社が代行で提出するケースが多いためです。
期限を過ぎた場合のリスク
正当な理由なく届出が遅れると、戸籍法第137条により 5万円以下の過料の対象になります。期限を過ぎると火葬の手配や年金停止などの後続手続きも進められなくなるため、葬儀の手配と合わせて 7日以内が原則です。
必要書類
死亡届の提出には、次の書類が必要です。
| 書類 | 取得先・準備方法 |
|---|---|
| 死亡届書(A3サイズ) | 病院または市区町村役場で入手。左半分が届出書、右半分が死亡診断書または死体検案書 |
| 死亡診断書または死体検案書 | 病院で発行(医師が記入、書式は死亡届と一体) |
| 届出人の印鑑(任意の自治体あり) | 戸籍法改正で押印は原則任意化。様式や自治体運用で求められる場合があるため、案内に従う |
| 届出人の本人確認書類 | 運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど |
死亡診断書と死体検案書の違い
- 死亡診断書: 治療中の病気で亡くなった場合に医師が作成
- 死体検案書: 事故・突然死など治療中でない死亡の場合に医師(多くは警察医)が作成
どちらも書式は同じで、死亡届と一体になったA3サイズの用紙です。
書類の写しは取っておく
死亡届と死亡診断書は、その後の手続き(生命保険金請求・遺族年金請求・銀行口座解約など)でコピーを求められることが多いです。提出前に5〜10枚程度のコピーを取っておくのが定石です。
死亡届の届出人
戸籍法第87条で、届出人の優先順位が定められています。
- 同居の親族
- その他の同居者
- 家主・地主または家屋・土地の管理人
加えて、同居していない親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者も届出人になれます。
葬儀社は届出人そのものではなく、家族が記入した死亡届を役所まで持参する「使者」として代行するのが一般的です。届出人欄は家族(同居の親族や同居者など戸籍法第87条で定める届出人)の氏名・住所を記入し、押印が必要な様式の場合は家族が押印します。
提出までの5ステップ
死亡から死亡届提出までの流れを5ステップで整理します。
ステップ1: 死亡確認と死亡診断書の入手
病院で医師が死亡を確認し、死亡診断書を作成します。書式は死亡届と一体のA3用紙で、病院から渡されます。
ステップ2: 葬儀社への連絡
ご遺体の搬送・葬儀の準備のため、葬儀社に連絡します。多くの葬儀社は24時間対応です。
ステップ3: 死亡届書の記入
A3用紙の左半分(死亡届)に記入します。記入項目は次のとおりです。
- 死亡者の氏名・生年月日・性別・住所・本籍
- 死亡日時・死亡場所
- 配偶者の有無
- 死亡したときの世帯のおもな仕事
- 届出人の住所・氏名・押印
ステップ4: 役場への提出
死亡届書と死亡診断書、届出人の本人確認書類(自治体・様式によっては印鑑も)を持って、3つの提出先のいずれかへ提出します。24時間受付の自治体も多くあります。
葬儀社に代行を依頼する場合は、署名・押印した死亡届書と死亡診断書、火葬許可申請書(後述)を葬儀社に渡せば、その後の手続きを代行してくれます。
ステップ5: 火葬許可証の受け取り
死亡届が受理され、火葬許可申請(一体になっていない自治体は別途申請)が処理されると、多くの場合その場で火葬許可証が発行されます。発行までに時間がかかる自治体もあるため、葬儀の予定が決まっている場合は窓口で確認してください。火葬許可証がないと火葬場で火葬を行えません。
火葬許可証と埋葬許可証の関係
火葬から納骨までは2つの書類が関わります。
火葬許可証(埋火葬許可証)
死亡届と同時に申請して交付される書類です。これがないと火葬場で火葬の手続きができません。
申請書式は自治体によって異なりますが、多くの場合「埋火葬許可申請書」として死亡届と一緒に提出します。
埋葬許可証(火葬後)
火葬を終えると、火葬場で火葬許可証に「火葬済」の印が押され、これが埋葬許可証になります。納骨・改葬の際に必要な書類です。
「火葬許可証=火葬前」「埋葬許可証=火葬後の同じ書類」と理解すると整理しやすくなります。
意外だったのが、納骨は実際には数か月後〜数年後に行うご家庭も多く、それまで埋葬許可証は遺骨と一緒に大切に保管しておく必要がある点です。紛失すると役所で再発行手続きが必要になります。
死亡届後の手続き(年金・健康保険・銀行・相続)は多岐にわたります。家族だけで進めると漏れが出やすいため、複数の専門家(行政書士・司法書士・税理士)から見積もりとサポート範囲を比較してから依頼先を決めるのも一つの方法です。
葬儀社に代行依頼する判断基準
死亡届と火葬許可証の手続きは、ほとんどの葬儀社が無料または葬儀パッケージの一部として代行してくれます。
葬儀社に代行を頼むメリット
- 24時間対応で深夜・早朝でも進められる
- 病院から役場・火葬場までの動線がスムーズ
- 書類不備で受理されないリスクが減る
- 家族は葬儀準備や弔問対応に集中できる
自分で提出する場合のメリット
- 葬儀社を介さず直接やり取りできる
- 葬儀社費用に「死亡届代行手数料」が含まれているケースで明確になる
判断のポイント
正直なところ、ほとんどの家庭で葬儀社に代行を頼むのが現実的です。死亡直後は精神的にも体力的にも余裕がなく、自分で役場と火葬場を往復するのは負担が大きくなります。
例外として、家族葬・直葬を自分たちで手配する場合や、葬儀社を使わない場合は、自分で提出する流れになります。
国外死亡・特殊ケースの対応
通常と異なる対応が必要なケースを整理します。
国外で亡くなった場合
国外で亡くなった場合、死亡を知った日から 3か月以内に在外公館または本籍地の市区町村に提出します(戸籍法第86条第3項)。期限は通常の7日ではなく 3か月と長く設定されています。
事故・事件・突然死の場合
警察医・監察医による死体検案を経て、死体検案書が発行されます。書式は死亡診断書と同じ用紙です。事件性がある場合は警察の対応が完了するまで遺体を引き取れないこともあります。
自宅で亡くなった場合(孤独死など)
警察が介入して検視を行い、死体検案書が作成されます。一般の死亡診断書ではないため、葬儀社や家族が病院に問い合わせるのではなく、警察の指示に従って手続きを進めます。
引き取り手のない遺体
戸籍法第87条の届出義務者がいない場合や、すべての関係者が届け出を拒否する場合、最終的には行政(市区町村)が処理を行います。
よくある質問(FAQ)
死亡届はオンラインで提出できますか?
2026年5月現在、死亡届のオンライン提出に対応している自治体はごく一部です。原則として紙の届出書を窓口・郵送・夜間受付窓口で提出する形になります。今後デジタル化が進む可能性はありますが、最新の状況は提出先の自治体に確認してください。
死亡届を提出すると銀行口座は凍結されますか?
死亡届の提出と銀行口座の凍結は別の手続きで、役所が銀行に死亡を自動通知することは原則ありません。家族や金融機関側で死亡を把握した時点で凍結されます。葬儀費用の支払い等で困った場合は、相続人が一定額を引き出せる「預貯金の払戻し制度(民法909条の2)」や、各金融機関の仮払い制度を活用できることがあります。死亡を伝えるタイミングを意図的に遅らせる方法ではなく、金融機関への相談と仮払い制度の利用が現実的な選択肢です。
死亡届提出後、年金・健康保険の停止はどうなりますか?
別途手続きが必要です。年金は日本年金機構(社会保険事務所)へ、健康保険は加入していた組合または市区町村の国保窓口に届け出します。マイナンバーが収録されている場合は手続きが省略されるケースもあります。
死亡診断書のコピーは何枚必要ですか?
5〜10枚程度を目安に取っておくと安心です。生命保険金請求、遺族年金請求、勤務先への提出、銀行口座解約、不動産名義変更など、多くの場面で求められます。原本は1枚しかないため、提出前にまとめてコピーを準備するのが定石です。
死亡届の控えを後から取得できますか?
死亡届書自体は提出後に役所が保管し、原則として控えは返却されません。死亡の事実を証明する書類が必要な場合は、戸籍謄本(除籍謄本)の取得で代用できます。死亡届の記載事項証明書は、申請理由が限定されるため一般的には取得しません。
まとめ
死亡届は、死亡の事実を知った日から 7日以内に、死亡地・本籍地・届出人住所地のいずれかの市区町村役場に提出します(戸籍法第86条第1項)。
期限を過ぎると 5万円以下の過料の対象(戸籍法第137条)になるため、葬儀の手配と並行して進めるのが基本です。
必要書類は次の通り。
- 死亡届書(A3用紙、左半分)
- 死亡診断書または死体検案書(A3用紙、右半分、医師作成)
- 届出人の印鑑(認印可、シャチハタ不可が一般的)
- 届出人の本人確認書類
死亡届が受理されると、その場で火葬許可証が発行され、火葬後は埋葬許可証として納骨まで使用します。紛失しないよう注意してください。
ほとんどのケースで葬儀社が代行してくれます。死亡直後は精神的・体力的に余裕がないため、葬儀パッケージに含まれていることが多い代行サービスを利用するのが現実的です。
葬儀社をまだ決めていない場合や、費用感を事前に把握しておきたい場合は、資料請求で葬儀プランの種類・代行範囲・費用の目安を確認しておくと、いざという時に慌てずに済みます。
次に読む記事は、状況に応じて選んでください。
- 死亡後の相続手続き全体 → 相続登記とは?2024年義務化後にやるべきことの全体像
- 相続登記の期限を整理したい方 → 相続登記はいつまでに何をすればよいか
- 遺産分割の準備 → 遺産分割協議書の書き方
- 終活全体の進め方 → 終活で最初にやることリスト
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