「相続した実家を売ろうと思って、まず査定を取ってみたい。でもどこに頼めばいいんだろう」

相続不動産の査定で迷う方は多いです。ネットで「不動産査定」と検索すると一括査定サービスがたくさん出てきますが、相続物件には独特の事情があります。一般の中古住宅売却と同じ感覚で進めると、相続物件特有のつまずきポイントが出てくることがあります。

この記事では、相続不動産の査定の頼み方と、業者を選ぶときの目安をまとめました。

  • 査定の3種類(簡易査定・訪問査定・一括査定)の使い分け
  • 相続物件で査定を頼む前に準備したいもの
  • 不動産会社を選ぶ4つの目安
  • 査定額に惑わされない判断のコツ

売却の全体の流れをまだ把握していない方は、先に相続した不動産を売却する手順を読んでおくと、査定の位置付けがつながりやすくなります。

相続不動産の査定とは(一般の査定との違い)

相続不動産の査定は、不動産会社が「この物件はだいたいこの価格で売れそう」という金額を出してくれる作業です。一般の中古住宅売却の査定と基本は同じですが、いくつか相続独特の事情があります。

一般の査定との主な違い

  • 名義変更(相続登記)が完了していない物件は、査定はできても売買契約は名義変更後になる
  • 共有名義の場合、共有者全員の同意が必要
  • 古い物件が多く、建物の評価がほぼゼロのケースも珍しくない
  • 遠方に住んでいて立ち会いが難しいことが多い
  • 売却益から譲渡所得税の特例が使えるケースがある

「査定は不動産会社が査定額を提示するだけ」と思いがちですが、相続物件の場合は名義変更や共有者の調整など、売却前提の話を一緒に進めることになります。相続物件の取り扱いに慣れた会社かどうかで、対応の手間が大きく変わります。

査定の3種類(簡易査定・訪問査定・一括査定)

不動産の査定方法は、大きく3つに分かれます。

査定方法内容所要時間精度
簡易査定(机上査定)物件情報をもとにオンラインや電話で概算を出す数日低〜中
訪問査定担当者が現地を確認した上で査定額を出す1〜2週間
一括査定複数の不動産会社から同時に簡易査定を受ける数日〜1週間中(複数社比較)

実務上は、まず一括査定で複数社の相場感を把握 → 信頼できそうな2〜3社に訪問査定を依頼、という流れが効率的です。

簡易査定が向いているケース

  • まずは大まかな相場感を知りたい
  • まだ売却するか決めていない
  • 複数物件の参考価格を一度に知りたい

訪問査定が必要なケース

  • 売却を本格的に検討している
  • 物件に特殊な事情がある(古い・狭い・接道が悪いなど)
  • 担当者の対応力も合わせて確認したい

一括査定が便利なケース

  • 不動産会社の知り合いがいない
  • 最初の問い合わせ先を絞りたい
  • 相続物件の取り扱い実績がある会社を探したい

一括査定サービスの使い方

一括査定サービスは、物件情報を一度入力するだけで複数の不動産会社から査定が届く仕組みです。

一般的な流れ

  1. ウェブサイトで物件情報(住所・面積・築年数など)を入力
  2. 査定を希望する不動産会社を選択(または自動でマッチング)
  3. 数日以内に各社から簡易査定の結果が届く
  4. 興味のある会社にだけ訪問査定を依頼

入力時に準備するもの

  • 物件の住所
  • 土地・建物の面積(登記簿または固定資産税納税通知書で確認)
  • 築年数
  • 間取り
  • 現状(空き家・賃貸中・住人ありなど)
  • 売却の希望時期

これらは登記事項証明書(登記簿謄本)や固定資産税納税通知書を見れば分かります。手元に書類がなくても、住所や築年数の概算で入力すれば査定は受けられますが、正確な情報を入れるほど査定精度が上がります。

一括査定で気をつけたいこと

一括査定は「高く売れることを保証するサービス」ではありません。査定額・担当者の説明・相続物件への対応力を比較するための判断材料として使うのが基本です。

複数社から連絡が来るため、電話やメールが集中する時期があります。返答する時間を決めておくと負担が減ります。

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査定を依頼する前に準備するもの

査定をスムーズに進めるため、可能な範囲で次の書類を手元に用意しておくと安心です。

書類確認できる情報取得方法
登記事項証明書(登記簿謄本)物件の所有者・面積・抵当権の有無法務局(窓口・オンライン)
固定資産税納税通知書評価額・面積毎年4〜5月に市区町村から送付
公図・地積測量図土地の形状・隣地との境界法務局
建物の図面間取り・面積自宅に保管されているケースが多い
購入時の売買契約書取得費の根拠(譲渡所得税の計算に使用)自宅・銀行の貸金庫など

全部揃っていなくても大丈夫

「全部準備できないと査定を頼めない」と思う必要はありません。住所と面積さえ分かれば、簡易査定は依頼できます。訪問査定の段階で、不足書類を担当者と相談しながら進めることが多いです。

正直なところ、相続物件で書類が完全に揃っているケースは少ないです。「あるものから始める」「足りない書類は後から取得する」という方針で進めるのが現実的です。

不動産会社を選ぶ4つの目安

査定額の高さで選びがちですが、査定額は「売れる金額の予想」に過ぎません。実際にその金額で売れるかは別問題です。

目安1: 相続物件の売却実績

相続物件は通常の物件より確認事項が多く、売却まで時間がかかることもあります。「相続専門」「相続実績多数」と打ち出している会社は、対応に慣れているケースが多いです。

ホームページや担当者との会話で、過去の相続物件の取り扱い件数を聞いてみると判断材料になります。

目安2: 媒介契約の説明

媒介契約には専属専任媒介・専任媒介・一般媒介の3種類があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、丁寧に説明してくれる会社は信頼の目安になります。

「専任媒介で囲い込んで、買主側からの問い合わせを断る」という慣習的な問題が指摘されることもあるため、専任にする場合は会社の方針を確認しておくと安心です。

目安3: 査定額の根拠

「3,000万円で売れます」という査定額の根拠が、近隣の成約事例なのか、希望的観測なのかで信頼度は大きく変わります。

「最近この近辺で売れた物件があり、その成約価格が〜」と具体的な事例を示してくれる会社は、相場をきちんと把握している可能性が高いです。

目安4: スケジュール感の提示

「いつ頃に売出して、いつ頃に売却完了が見込めるか」を具体的に提示してくれる会社は、見通しが立っている証拠です。

逆に「お任せください、頑張ります」だけで具体性がない場合、売出してからずっと反応がなく、結局値下げするケースもあります。

査定額に惑わされないコツ

「査定額1,000万円」と「査定額1,500万円」の2社があれば、後者を選びたくなります。ただし、これには注意が必要です。

高い査定額を出す理由

不動産会社が高い査定額を出す動機の一つに「媒介契約を取りたい」があります。査定額を高めに提示して契約を取り、売れなければ徐々に値下げする、という流れになることがあります。

意外だったのが、3社の査定額が「1,000万円・1,200万円・1,800万円」のように分かれた時、1,800万円の会社で活動を始めても問い合わせが来ず、結局1,000万円以下に値下げするケースが珍しくないということです。

査定額より「売れそうな金額」と「根拠」

判断軸は次のようにすると、査定額に振り回されにくくなります。

  • 「査定額」より「実際に売れそうな金額」を聞き出す
  • 高い査定額を出した会社には「なぜその金額か」の根拠を確認
  • 根拠が薄い場合は、現実的な金額を出した他社を比較対象にする

3社程度の査定額の中央値を「相場」と捉え、最終的にどの会社に依頼するかを判断する基準は「金額」ではなく「対応力・実績・根拠」で見るのが安全です。

よくある失敗

失敗1: 名義変更前に査定を頼んで、契約段階で進まなくなる

査定自体は名義変更前でも可能ですが、買主への所有権移転登記には相続登記が必要です。査定と並行して相続登記を進めるとスムーズですが、相続登記を後回しにすると、買主が見つかってからやり直しになることがあります。

詳しくは相続登記はいつまでに何をすればよいかを参照してください。

失敗2: 一社だけに依頼して相場が分からないまま売却

「最初に問い合わせた会社が良さそうだったから」という理由で一社だけに任せると、相場より低く売却してしまうリスクがあります。最低でも2〜3社の査定を比較するのが基本です。

失敗3: 査定額の高さで選んで活動が長引く

前述の通り、査定額の高さは売れる金額を保証するものではありません。「対応力」「実績」「根拠」で選ぶ方が、結果的に手取りが増えやすくなります。

よくある質問(FAQ)

査定は無料で受けられますか?

ほとんどの不動産会社で無料です。査定だけで料金を請求されることは通常ありません。ただし、訪問査定の交通費を別途請求する会社もまれにあるため、事前に確認すると安心です。

査定を頼むと必ず売却しないといけませんか?

その必要はありません。査定はあくまで「相場感を知る」「業者を比較する」ための情報収集です。査定後に売却しないことを決めても、特に問題はありません。

遠方の物件でも査定してもらえますか?

ほとんどの大手不動産会社や一括査定サービスは全国対応しています。地方の物件は地元の不動産会社の方が相場を把握しているケースもあるため、大手と地元の両方に査定を依頼すると比較しやすくなります。

共有名義の場合、誰が査定を依頼できますか?

共有者の一人が代表して査定を依頼することが可能です。ただし、実際に売却に進む段階では共有者全員の合意が必要になります。査定の結果を共有者に共有して、売却するかどうかの話し合いを進めるのが現実的です。

査定額より高く売れることはありますか?

あります。複数の購入希望者が出た場合や、立地・条件が予想以上に評価された場合などです。逆に、想定より低くなるケースもあるため、査定額は「目安」として捉えるのが安全です。

まとめ

相続不動産の査定では、まず簡易査定で複数社の相場感を把握 → 信頼できそうな2〜3社に訪問査定を依頼、という流れが効率的です。一括査定サービスを使うと、複数社へのアプローチをまとめて行えます。

不動産会社を選ぶ目安は、査定額の高さではなく「相続物件の実績」「媒介契約の説明」「査定額の根拠」「スケジュール感」の4つです。査定額が高い会社が必ずしも有利というわけではなく、現実的な金額と根拠を示してくれる会社の方が、結果的に手取りが増えやすくなります。

次に読む記事は、状況に応じて選んでください。

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法律・税務の個別アドバイスではありません。具体的には司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。記載内容は記事公開時点の情報に基づいています。

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