「お墓を移す」「遺骨を別の供養先に納め直す」ためには、自治体の許可が必要です。

「許可」と聞くと身構えてしまうのですが、必要書類は基本的に3種類だけ。各書類の入手先を順番に押さえれば、自分でも進められる手続きです。

ただし、書類の名前が似ていて混乱しやすい、お墓の所在地と現住所が違う場合の提出先で迷いやすい、といったつまずきポイントがあります。

この記事で分かること。

  • 改葬許可証とは何か(位置づけ)
  • 改葬手続きの全体の流れ(5ステップ)
  • 必要書類3種類と入手先・手数料
  • 自治体・ケース別の注意点
  • 申請から許可証取得までの所要日数

墓じまい全体の流れの中での位置づけは、墓じまいは何から始めるのかを先に読むと整理しやすくなります。

改葬手続きの結論:5ステップで進む

最初に全体像をお見せします。改葬手続きは次の5ステップで進みます。

  1. 改葬先(次の供養先)を決める
  2. 改葬先から「受入証明書」を発行してもらう
  3. 現在のお墓の管理者から「埋葬証明書」を発行してもらう
  4. 現在のお墓がある市区町村の役所に「改葬許可申請書」を提出する
  5. 「改葬許可証」を受け取り、お墓から遺骨を移す

ポイントは2つ。

  • 申請先は「現在のお墓がある市区町村」(自分の住所地ではない)
  • 1柱の遺骨につき1枚の申請書を求める自治体がほとんど

それぞれ詳しく見ていきます。

改葬許可証とは何か

改葬許可証とは、墓地に納められている遺骨を別の場所に移す際に必要な、市区町村長が発行する許可証のことです。

法律上は「墓地、埋葬等に関する法律」第5条で、改葬を行うには市区町村長の許可が必要と定められています。許可なしに遺骨を移すことはできません。

「許可」と聞くと厳しい審査がありそうですが、書類が揃っていれば通常は問題なく発行されます。即日発行に対応する自治体もありますが、内容確認・追加書類の依頼が入ると数日〜1週間程度かかるケースも珍しくありません。

必要書類は基本3種類

必要書類は基本的に次の3つです。自治体によっては、本人確認書類のコピー、墓地使用者の承諾書、代理人なら委任状などが追加で必要なケースもあります。事前に申請先の自治体に確認してください。

書類入手先手数料の目安
1. 改葬許可申請書現在のお墓がある市区町村の役所0〜1,500円程度
2. 埋葬証明書(焼骨の場合は埋蔵証明書・収蔵証明書)現在のお墓の管理者(寺院・霊園)300〜1,500円程度
3. 受入証明書改葬先の供養先(寺院・霊園・納骨堂など)0〜数千円程度

書類1: 改葬許可申請書

改葬許可申請書は、現在のお墓がある市区町村の役所で入手します。役所のサイトからPDFでダウンロードできる自治体も多いです。

記入する主な内容は次のとおりです。

  • 死亡者の氏名・本籍・住所・死亡日
  • 現在の埋葬場所
  • 改葬先の所在地
  • 申請者(祭祀承継者)の氏名・住所・続柄

「死亡者の本籍」「死亡日」が分からない場合は、戸籍謄本や除籍謄本で確認できます。古い遺骨で情報が分からない場合は、自治体の窓口で相談すると代替対応を案内してもらえます。

書類2: 埋葬証明書(埋蔵証明書・収蔵証明書)

現在のお墓の管理者(寺院・霊園)が発行する書類で、「この場所に確かに遺骨が埋葬・埋蔵されている」ことを証明する書類です。

書類の名称は施設や自治体で異なります。土葬では「埋葬証明書」、火葬後の焼骨を埋蔵している場合は「埋蔵証明書」、納骨堂は「収蔵証明書」と呼ばれることが多いです。意味する内容は同じで、申請先の自治体が指定する形式に従います。自治体によっては、改葬許可申請書の中に署名欄が組み込まれており、別書類が不要なケースもあります。

寺院から発行を受ける場合、墓じまいの相談と同時に依頼するのが一般的です。離檀料の交渉が長引いて発行が遅れるケースもあるため、早めに相談しておくと進めやすくなります。

書類3: 受入証明書

改葬先(次の供養先)が発行する書類で、「この場所で遺骨を受け入れる」ことを証明する書類です。

新しい供養先(永代供養墓、納骨堂、樹木葬、合祀墓など)と契約・申し込みを完了した段階で発行を依頼します。多くの場合、契約手続きと同時に発行されます。

意外だったのが、海洋散骨を選ぶ場合は「埋葬・埋蔵しない」ため受入証明書が発行されないことがある点です。散骨業者から「散骨証明書」など別形式の書類が出るケースもありますが、改葬許可の必要性・添付書類の扱いは自治体によって割れます。散骨を予定している場合は、事前に申請先の役所と散骨業者の両方に確認するのが確実です。

改葬手続きの5ステップ詳細

ここからは、各ステップで実際に何をするかを順番に説明します。

ステップ1: 改葬先を決める

最初のステップは、遺骨を移す先(改葬先)を決めることです。

改葬先が決まらないと受入証明書が発行されず、改葬許可申請が始められません。永代供養墓・納骨堂・樹木葬・合祀墓・海洋散骨など、選択肢の比較は永代供養の種類と費用を参照してください。

ステップ2: 受入証明書を発行してもらう

改葬先と契約・申し込みが完了したら、受入証明書の発行を依頼します。多くの場合、申し込み手続きと同時に発行されます。

ステップ3: 埋葬証明書を発行してもらう

現在のお墓の管理者(寺院・霊園)に依頼します。寺院の場合は墓じまいの意向を伝え、離檀の話と合わせて進めるのが一般的です。

寺院との関係が悪化していると発行を渋られるケースも稀にありますが、これは法律で発行義務が明確に定められているわけではないため、難航する場合は行政書士や墓じまい代行業者に相談する選択肢もあります。

ステップ4: 改葬許可申請書を役所に提出

3つの書類が揃ったら、現在のお墓がある市区町村の役所に提出します。

提出先は「自分が住んでいる市区町村」ではなく「お墓がある市区町村」という点に注意してください。

ケース申請先
自分は東京、お墓は大阪大阪の市区町村役所
自分は福岡、お墓は東京東京の市区町村役所
自分もお墓も同じ市内その市区町村役所

複数の遺骨を移す場合、1柱につき1枚の申請書を求める自治体がほとんどです。家族墓に5人埋葬されているなら、申請書は5枚必要になります。

ステップ5: 改葬許可証を受け取り、遺骨を移す

申請書が受理されると、改葬許可証が発行されます。発行までの所要日数は自治体によって異なり、即日〜1週間程度が目安です。

改葬許可証を持って、現在のお墓の管理者に提示し、閉眼供養と遺骨の取り出しを行います。改葬先で納骨する際にも、許可証の提示が必要になります。

手続き自体は自分でも進められますが、遠方の場合や寺院との交渉が難航する場合に備えて、墓じまい代行業者の見積もりも取り寄せて比較してから判断するのも一つの方法です。

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自治体・ケース別の注意点

自治体やケースによっては、追加の対応が必要になります。代表的なものを整理します。

注意1: 郵送申請に対応している自治体としていない自治体

遠方のお墓を整理する場合、改葬許可申請を郵送で受け付けている自治体もあります。ただし、対応していない自治体や、特定の条件下のみ郵送可とする自治体もあります。

事前に申請先の役所に電話して「郵送申請が可能か」「必要な郵送物は何か」を確認するのが確実です。

注意2: 古い遺骨で情報が不明な場合

長期間お墓に納められている遺骨で、死亡日や本籍が分からないケースがあります。この場合は申請書に記入できる範囲で記入し、不明欄については自治体の窓口で相談すると代替対応を案内してもらえます。

注意3: 1柱ごとに申請書が必要な自治体

家族墓のように複数の遺骨が納められている場合、自治体によって申請書の枚数が異なります。

  • 1柱ごとに1枚必要:多くの自治体(こちらが一般的)
  • 1区画につき1枚で複数柱を申請可:一部の自治体

事前に申請先の役所に確認してから準備を進めると、申請当日に枚数が足りずに窓口で書き直す事態を避けられます。

注意4: 海洋散骨を選ぶ場合の取り扱い

散骨は「埋葬」ではないため、改葬許可が不要と扱う自治体もあります。一方、改葬許可を求める自治体や、独自の手続きを設けている自治体もあります。

散骨業者を通じて申請する場合は、業者がサポートしてくれることが多いですが、自分で行う場合は事前に役所への確認が必須です。

申請から許可証取得までの所要日数

ステップ所要日数の目安
改葬先との契約・受入証明書発行1日〜2週間程度
埋葬証明書の発行即日〜数週間程度(寺院との相談状況による)
改葬許可申請書の提出から許可証発行まで即日〜1週間程度

全体で 2週間〜2か月程度を見込んでおくと現実的です。寺院との離檀の話し合いが長引く場合は、半年程度かかることもあります。

改葬手続きを自分で進めるか業者に頼むか

改葬手続き自体は、必要書類を揃えて申請すれば自分でも進められます。

ただ、次のような場合は墓じまい代行業者・行政書士に相談する選択肢もあります。

  • 遠方のお墓で何度も現地に行けない
  • 寺院との交渉が難航している
  • 古い遺骨が多く、書類の記入で困っている
  • 仕事や介護の合間で動きにくい

業者に依頼する場合、書類代行のみで 3万〜10万円程度、撤去工事まで含めたパッケージで 30万〜80万円程度が目安です。費用の全体像は墓じまいの費用相場で詳しく整理しています。

迷う場合は、自分で進める前提で見積もりを取り、費用と手間を比較してから判断するのも一つの方法です。

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よくある質問(FAQ)

改葬許可申請は誰が行えますか?

通常はお墓の祭祀承継者(名義人)が行います。委任状があれば、家族や行政書士・墓じまい代行業者が代理で申請することも可能です。委任状の様式は自治体ごとに異なるため、事前に役所に確認してください。

改葬許可申請書は1柱につき1枚必要ですか?

ほとんどの自治体で1柱につき1枚を求められます。家族墓に5人埋葬されている場合は5枚必要というのが一般的です。一部、1区画ごとに1枚で済む自治体もあるため、事前に確認すると確実です。

改葬許可証の有効期限はありますか?

法律上の有効期限は明文化されていませんが、自治体によっては「発行日から3か月以内」「半年以内」などの目安を設けているケースもあります。発行後は速やかに改葬を進めるのが基本です。

書類が揃わないと改葬は進められませんか?

3つの書類(改葬許可申請書・埋葬証明書・受入証明書)すべてが揃わないと改葬許可証は発行されません。寺院との関係などで書類が揃わない場合は、行政書士や弁護士に相談する選択肢があります。

戒名や俗名が分からない遺骨はどうすればよいですか?

申請書には記入可能な範囲で記入し、不明欄は自治体の窓口で相談してください。墓地管理者の協力で過去帳から情報を得られるケースや、「氏名不詳」での申請が認められるケースもあります。

まとめ

改葬手続きは、必要書類3種類を揃えて市区町村に申請する流れです。

  • 改葬許可申請書(お墓がある市区町村役所で入手)
  • 埋葬証明書(現在のお墓の管理者が発行)
  • 受入証明書(改葬先が発行)

申請先は「お墓がある市区町村」で、自分の住所地ではありません。1柱の遺骨につき1枚の申請書が必要な自治体がほとんどです。

全体の所要日数は 2週間〜2か月程度。寺院との離檀の話し合いが長引く場合はさらに時間がかかります。

自分で進められる手続きですが、遠方のお墓や寺院との交渉が難航している場合は、墓じまい代行業者・行政書士に依頼する選択肢もあります。

次に読む記事は、状況に応じて選んでください。


本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法律・税務の個別アドバイスではありません。具体的には司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。記載内容は記事公開時点の情報に基づいています。

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本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的には司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。