「墓じまいって、結局いくらかかるんだろう」。

調べてみると、あるサイトには「30万円から」と書かれ、別のサイトには「300万円かかった」と書かれている。10倍の差があって、自分のケースで何円になるのか想像できない。

幅が大きく見えるのは、墓じまいが一つの作業ではなく、5つの費用の合算だからです。内訳ごとに分けて見ると、自分のお墓ならどのくらいになりそうか、見当がつくようになります。

この記事で分かること。

  • 墓じまい費用の総額の目安と早見表
  • 5つの内訳(撤去・閉眼供養・離檀料・改葬先・行政手続き)の相場
  • 費用が上振れしやすい5つの場面
  • 自治体の補助金・助成金が使えるケース
  • 費用を抑える3つの実務的なコツ

墓じまい全体の流れを先に知りたい方は、墓じまいは何から始めるのかから読むと、費用の位置づけが掴みやすくなります。

墓じまい費用の総額相場(早見表)

墓じまいの総額は、おおむね 30万〜300万円程度が目安です。多くのケースで 50万〜130万円程度の範囲に収まる傾向がありますが、公的な全国平均統計はなく、改葬先と立地で大きく変わります。

総額に最も影響するのは、改葬先(次の供養先)の選び方です。改葬先別の早見表は次のとおりです。

改葬先のタイプ総額の目安
合祀墓に改葬30万〜80万円程度
樹木葬(合祀型)に改葬35万〜90万円程度
樹木葬(個別型)に改葬80万〜150万円程度
納骨堂に改葬80万〜250万円程度
海洋散骨30万〜80万円程度
一般墓に建て替え150万〜300万円程度

なお、墓じまい(改葬)は近年急増しています。厚生労働省の衛生行政報告例によると、2022年度(令和4年度)の改葬件数は 151,076件で、統計開始以来初めて15万件を超えました。その後も高水準で推移しており、最新数値は e-Stat の同統計で確認できます(出典: 厚生労働省 衛生行政報告例)。

「うちは特殊なケースかも」と思っている方が多いですが、年間15万件を超える、ごく一般的な選択肢になっています。

費用の5つの内訳と相場

墓じまいの費用は、次の5つに分けて考えると整理しやすくなります。

内訳相場の目安
1. 墓石の撤去・処分1平米あたり 10万〜15万円(一般的な家族墓で 20万〜30万円)
2. 閉眼供養(魂抜き)のお布施1万〜5万円
3. 離檀料(寺墓地の場合)0〜20万円
4. 改葬先(次の供養先)の費用5万〜250万円
5. 行政手続きの手数料数百〜数千円

内訳1: 墓石の撤去・処分(20万〜30万円程度)

墓じまいで最も大きな割合を占めることが多いのが、墓石の撤去・処分費用です。1平米あたり 10万〜15万円程度が目安で、一般的な家族墓(2平米前後)であれば 20万〜30万円程度に収まります。

費用には次の作業が含まれます。

  • 墓石の解体
  • 基礎部分(カロート)の撤去
  • 区画の整地(更地に戻す)
  • 撤去した石の運搬・処分

内訳2: 閉眼供養(へいがんくよう)のお布施(1万〜5万円程度)

閉眼供養とは、お墓に宿った魂を抜く儀式のことです(魂抜き・撥遣式とも呼ばれます)。墓石を撤去する前に僧侶へ依頼するのが一般的です。

お布施の目安は 1万〜5万円程度。寺院の格式や地域差で幅があります。加えて、僧侶の交通費としてお車代(5,000〜1万円程度)を別に包むことが多いです。

「お気持ちで」と言われた場合は、その地域の中央値を目安にすると無難です。

内訳3: 離檀料(0〜20万円程度が多い)

離檀料は、菩提寺の檀家を抜ける際にお礼として包むお金です。法律で金額が一律に定められた費用ではなく、寺院との話し合いで決まります。

目安は次のとおりです。

  • 都市部・新しい関係: 0〜10万円程度
  • 古くからの檀家: 10〜20万円程度

意外だったのが、霊園や民営墓地ではそもそも離檀料が発生しないケースも多いことです。離檀料が問題になるのは、寺院の境内にあるお墓(寺墓地)に多い傾向があります。

内訳4: 改葬先(次の供養先)の費用

総額に最も影響するのがこの内訳です。改葬先を何にするかで、5万円から200万円超まで変わります。

改葬先費用の目安
合祀墓(合葬墓)3万〜10万円程度
樹木葬(合祀型)5万〜20万円程度
樹木葬(個別型)50万〜100万円程度
納骨堂50万〜150万円程度
海洋散骨(委託)5万〜10万円程度
海洋散骨(個別乗船)20万〜30万円程度

詳しい比較は永代供養の種類と費用、樹木葬を検討中の方は樹木葬の費用と注意点を参照してください。

内訳5: 行政手続きの手数料(数百〜数千円)

意外と知られていませんが、行政手続きにも費用が発生します。金額自体は小さいです。

  • 改葬許可申請書の発行手数料: 0〜1,500円程度(自治体により異なる)
  • 埋葬証明書の発行手数料: 0〜1,000円程度(寺院・霊園による)
  • 受入証明書の発行手数料: 0〜数千円程度(新しい供養先による)

合計しても数千円以内に収まるケースがほとんどです。

費用が上振れしやすい5つの場面

事前の見積もりに含まれず、進める途中で発生することが多いのが次の5つです。「想定外」を減らすため、最初から見込んでおくと安心です。

場面1: 山間部・狭い参道のお墓

重機やクレーンが入れない場所では、手作業や運搬の追加費用が発生します。撤去費が相場の1.5〜2倍になることもあります。

場面2: 大型の和型墓石・複数基ある区画

墓石が大きい、複数基並んでいる、外柵が立派、といった区画では、解体・運搬の量が増えます。

場面3: 遺骨の洗骨・粉骨

長期間納められていた遺骨は土や水分を含むことがあり、改葬先によっては洗浄・乾燥(1万〜3万円程度)や粉骨(1万〜3万円程度・1柱あたり)が必要になります。

場面4: 高額な離檀料の請求

国民生活センターの「見守り情報」では、墓じまいを申し出たところ寺院から 300万円もの離檀料を請求された、過去帳に祖先 8人の名前があるという理由で合計 700万円を提示された、といった事例が紹介されています(出典: 国民生活センター 見守り情報「墓じまい 離檀料に関するトラブルに注意」)。

正直なところ、こうした請求は例外的なケースですが、起きると総額が一気に跳ね上がります。違和感のある金額を提示された場合は、消費者ホットライン 188(いやや)に相談するのが選択肢の一つです。

場面5: 遠方往復の交通費・宿泊費

家族の交通費・宿泊費が想像以上にかさむことがあります。閉眼供養の立ち会い、改葬許可申請、遺骨の引き取りで複数回現地に行く必要があり、合計で数万〜10万円程度を見込んでおくと現実的です。

自治体の補助金・助成金が使えるケース

墓じまい費用を抑えたい場合、自治体の補助金・助成金を確認するのは効果的な方法です。意外と知られていませんが、公営墓地を中心に補助制度を持つ自治体があります。

補助の主な3類型:

  • 墓石撤去費の助成(多くは上限 20万円前後)
  • 墓地使用料の一部返還
  • 改葬支援金

実施自治体の例:

自治体概要
千葉県市川市公営墓地(市営霊園)の原状回復に対する補助。芝生墓地で 75,000円、一般墓地は区画の大きさに応じて 21万〜44万円を上限
群馬県太田市八王子山公園墓地の墓石撤去費として、実費または 20万円のいずれか低い額を助成

注意点が3つあります。

  • 対象は公営墓地が中心で、寺院墓地や民営霊園は対象外のことが多い
  • 申請のタイミングは「墓じまい完了後すみやかに」など期限あり
  • 制度は年度ごとに変更・終了することがある

補助金制度は新設・廃止・金額改定が頻繁にあります。お住まいの市区町村のサイトで「墓地 補助金」「墓地 助成金」「区画返還」で検索し、必ず最新の制度内容を直接確認してください。

費用面で迷う場合は、補助金の有無も含めて石材店や墓じまい代行業者から早めに見積もりを取り、複数の選択肢を比べてから判断するのも一つの方法です。

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費用を抑える3つの実務的なコツ

総額が大きくなりやすい墓じまいですが、進め方の工夫で抑えられる場面があります。

コツ1: 石材店から複数の見積もりを取る

墓石撤去の費用は、石材店によって 2〜3倍の差が出ることも珍しくありません。寺院や霊園が指定石材店制度を採用している場合は無理に他社で進めようとせず、寺院に事情を説明して相談する方がトラブルを避けられます。指定がない場合は、相場感を掴むためにも 2〜3社から相見積もりを取るのが基本です。

コツ2: 改葬先の表示価格に何が含まれるか書面で確認する

「○○万円から」という表示価格に、永代供養料・年間管理費・納骨料・銘板の刻字代がそれぞれ含まれているかは、事業者によって扱いが異なります。表示価格だけで決めると、契約時に追加費用が発生して総額が膨らむことがあります。

申し込み前に「この金額に何が含まれて、何が含まれないか」を必ず書面で確認するのが大切です。

コツ3: 仏壇・位牌の処分は別予算で考える

墓じまいと合わせて仏壇や位牌を処分する方も多いです。仏壇の処分費用と閉眼供養のお布施は、墓じまいとは別の予算枠として 1万〜10万円程度を見込んでおくと、後から想定外になりません。仏壇処分の進め方は仏壇の処分方法と費用を参照してください。

放置した場合の費用とリスク

費用が気になって、墓じまい自体を後回しにする方もいます。ただし、放置にも費用とリスクがあります。

管理料が払えなくなったお墓は、長期間の未納が続くと「無縁墳墓(むえんふんぼ)」として扱われ、墓地管理者が改葬手続きを進めることになります。墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第3条では、官報への掲載と墓地への立て札を 1年間続けて公告し、申し出がないことを確認したうえで改葬する手順が定められています。

つまり、放置すると次のことが起きます。

  • 管理料の延滞分が積み上がる
  • 家族・親族が知らないうちに合祀されることがある
  • 子・孫の世代に管理の負担とトラブルが回る

「今は決められない」場合でも、お墓の管理者に状況を伝えておくだけで、いきなり無縁墳墓扱いになる事態を避けやすくなります。

見積もり前のチェックリスト

墓じまいの見積もりを取る前に、次の項目を整理しておくと、聞き漏らしや想定外を減らせます。

  • 現在のお墓の所在地・区画の大きさ(平米数)
  • 墓石のサイズ・基数・外柵の有無
  • 寺院墓地か霊園か(離檀料の有無に関わる)
  • 改葬先の候補(合祀/樹木葬/納骨堂/散骨)
  • 自治体の補助金制度の有無を市区町村サイトで確認したか
  • 仏壇・位牌の処分も同時に進めるか
  • 家族・親族の合意が取れているか

よくある質問(FAQ)

墓じまいの費用は誰が払うのが一般的ですか?

法律で支払義務者が決まっているわけではなく、お墓の名義人(祭祀承継者)が中心になって負担するケースが多いです。兄弟姉妹で分担するご家庭もあります。後でトラブルにならないよう、誰がどの部分を負担するか事前に話し合っておくと安心です。

費用が払えない場合の対処はありますか?

選択肢は3つあります。1つ目は自治体の補助金・助成金の活用、2つ目は石材店や改葬先のローン・分割払い、3つ目は相続人全員の合意のうえで相続財産から支払う方法です。なお、墓じまい費用は相続税の控除対象にはなりません(葬儀費用とは別の扱い)。

離檀料を払わないとお墓を撤去できませんか?

離檀料の支払いは、お墓の撤去や遺骨の引き渡しの法的条件ではありません。長く続いた寺院との関係を円満に終えるためのお礼という位置づけです。極端な高額請求があった場合は、消費者ホットライン 188 や行政書士・弁護士に相談する方法もあります。

墓じまいにはどのくらいの期間がかかりますか?

一般的には 2か月〜半年程度です。家族の話し合い、お寺との交渉、改葬許可の申請、石材店の手配などが順番に必要になります。寺院との話し合いが長引くと半年以上かかることもあります。

遠方の墓地でも墓じまいはできますか?

できます。石材店やお寺とのやり取りは電話・メール・郵送でも対応可能で、改葬許可申請を郵送で受け付けている自治体もあります。ただし、閉眼供養と遺骨の引き取りで現地に行く必要があるケースが多く、交通費・宿泊費を見込んでおくと安心です。

まとめ

墓じまいの総額は 30万〜300万円程度(平均は 50万〜130万円程度)。内訳は次の5つに分けると整理しやすくなります。

  • 墓石の撤去・処分: 20万〜30万円程度
  • 閉眼供養のお布施: 1万〜5万円程度
  • 離檀料: 0〜20万円程度(寺墓地中心)
  • 改葬先の費用: 5万〜250万円程度
  • 行政手続きの手数料: 数百〜数千円程度

総額に最も影響するのは改葬先の選び方で、合祀墓・合祀型樹木葬・委託散骨は費用を抑えやすい選択肢です。

費用を抑えるには「石材店の相見積もり」「改葬先の価格内訳の書面確認」「仏壇は別予算」の3点が実務的なコツになります。お住まいの自治体の補助金制度も忘れずに確認してください。

「決められない」「先送りしたい」場合でも、放置すると無縁墳墓扱いとなり、子・孫の世代に管理が引き継がれてしまいます。今すぐ動かなくても、お墓の管理者に状況を伝えておくだけで、その事態を避けやすくなります。

迷った場合は、複数の石材店や改葬先から見積もりを取り、相場感を掴んでから判断するのも一つの方法です。

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法律・税務の個別アドバイスではありません。具体的には司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。記載内容は記事公開時点の情報に基づいています。

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