「墓じまいの見積もりに『墓石処分費』とあるけれど、これって何だろう」。

撤去された墓石の行方や処分の仕組みは、意外と知られていません。「自分で粉砕して捨てれば安く済むのでは」「業者に渡したら適当に砕かれて終わりなのでは」と、誤解したまま見積もりを進めて困る方もいます。

墓石撤去で発生する廃材は、実務上は石材店などの工事業者が排出する「がれき類等の産業廃棄物」として処理されるのが一般的です。処分には許可を持つ業者の関与が必要になり、撤去費用とは別に、処分のしくみを理解しておくと業者選びで失敗しにくくなります。

この記事で分かること。

  • 墓石処分にまつわる3つのよくある誤解
  • 処分の正しい4つの選択肢
  • 業者選びの3つのチェックポイント
  • 費用の内訳と相場
  • 撤去された墓石の行方

墓じまい全体の流れと費用の全体像は、先に墓じまいは何から始めるのか墓じまいの費用相場を読むと位置づけが掴みやすくなります。

まず整理:墓石処分の3つのよくある誤解

墓石の処分について、よく見かける誤解を先に整理しておきます。

誤解1: 自分で処分すれば安く済む

結論から言うと、ほぼ不可能です。

一般的な家族墓の墓石は重量が 200〜500kg にもなります。重機を使わずに動かすことは現実的ではなく、隣接する区画の墓石を傷つけた場合の賠償リスクもあります。

加えて、墓石撤去で出る廃材は工事業者から排出される産業廃棄物として処理する流れが実務上の標準です。家庭ごみとして自治体のクリーンセンターに持ち込んでも受け付けてもらえないのが一般的で、無理に砕いて処分しようとすれば事故や近隣トラブルの原因にもなります。

誤解2: どの業者でも撤去・処分できる

これは半分正解で半分誤りです。撤去自体は石材店であれば対応できますが、処分には別の許可が必要です。

墓石撤去で発生する廃材を運搬・処理するには、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に基づく「産業廃棄物収集運搬業」と「産業廃棄物処分業」の許可が必要です。両方の許可を1社で持つとは限らず、石材店が撤去工事を行い、運搬・処分は許可業者に委託する形が一般的です。許可業者との連携が取れているかを確認するのが基本です。

誤解3: 撤去費用に処分費が必ず含まれている

含まれているケースもあれば、別途請求のケースもあります。

「撤去費 1平米○万円」と書かれていても、その金額に処分費・運搬費が含まれているかは業者次第です。見積もりを取るときは、合計額だけでなく内訳を必ず確認するのが大切です。

墓石処分の正しい4つの選択肢

墓石を処分するときの選択肢は、大きく次の4つに分けられます。

選択肢内容費用の目安
1. 石材店・墓じまい業者に撤去+処分を依頼撤去から処分まで一括で対応1平米 10万〜15万円程度(撤去・処分込み)
2. 一部を加工して手元に残す数珠・地蔵・小さな置物などに加工1万〜10万円程度(加工内容による)
3. 石材店の買取・再利用状態の良い墓石を再利用撤去費から減額(応相談)
4. お焚き上げ・墓石供養撤去後に供養儀式を行う1万〜3万円程度(お布施)

選択肢1: 業者に撤去+処分を一括依頼(最も一般的)

最も多く選ばれる方法です。石材店または墓じまい代行業者に依頼すると、撤去・運搬・処分までを一括で進めてくれます。

撤去された墓石は産業廃棄物として、許可業者に引き渡されたあと、路盤材(道路工事の下敷き)や骨材として再利用されるのが一般的です。処分の証跡として「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」が発行される業者を選ぶと、不法投棄リスクを避けられます。

選択肢2: 一部を加工して手元に残す

墓石全体を残すのは難しくても、一部を切り出して数珠・小さな置物・地蔵などに加工してもらえます。「先祖の墓石をすべて捨ててしまうのは抵抗がある」という方に選ばれます。

加工費は内容によって 1万〜10万円程度です。石材店に依頼するか、墓石加工を専門にする工房を探す形になります。

選択肢3: 石材店の買取・再利用

状態が良く比較的新しい墓石は、石材店が引き取り、別の用途や別の墓石に再加工するケースもあります。ただし、墓石の中古市場は非常に限定的で、買取金額がつくケースはまれです。「撤去費が多少減額される」または「引取手数料が無料になる」程度が現実的な期待値で、買取を前提に進めるのは避けるのが無難です。

選択肢4: お焚き上げ・墓石供養

撤去された墓石に対して、お焚き上げや供養の儀式を行う寺院・霊園もあります。法的に必須ではありませんが、「先祖代々の墓石をただ処分するのは気が引ける」という気持ちへの選択肢です。

業者選びの3つのチェックポイント

墓石処分の業者を選ぶときは、次の3つを確認すると後悔を減らせます。

ポイント1: 産業廃棄物処分業の許可を持っているか

業者のサイトや見積書に「産業廃棄物収集運搬業 許可番号 第○○号」が記載されているかを確認します。記載がない、または曖昧にされる業者は避けるのが無難です。

意外だったのが、産廃許可は都道府県ごとの登録になっており、同じ業者でも複数の都道府県で登録している場合があることです。お墓の所在地の都道府県で許可を持っているかも合わせて確認すると確実です。

ポイント2: 処理ルートの確認(マニフェスト制度)

マニフェスト(産業廃棄物管理票)は、廃材の運搬・処分の流れを記録する書類で、排出事業者(石材店など)が交付・管理する制度です。施主側に保管義務があるわけではありませんが、依頼前に「どの許可業者に委託して、どこで最終処分されるか」の処理ルートを説明できる業者を選ぶと、不法投棄リスクを避けられます。必要に応じてマニフェストの控えを見せてもらえるかも確認すると安心です。

ポイント3: 寺院・霊園の指定石材店制度を確認

寺院や霊園によっては、撤去工事を行える石材店を限定する「指定石材店制度」を設けているケースがあります。指定がある場合は、相見積もりが取りにくいことがある点に注意してください。

指定がない場合は、2〜3社から相見積もりを取って金額・内訳・対応を比較するのが基本です。

費用の内訳と相場

墓石処分の費用は、撤去費と処分費が一体になっているケースと別建てになっているケースの両方があります。

内訳相場の目安
墓石の解体・撤去1平米あたり 10万〜15万円程度
産業廃棄物としての処分1トンあたり 1万円程度(撤去費に含まれることが多い)
墓石の加工(手元供養用)1万〜10万円程度
撤去後の供養(お焚き上げ)1万〜3万円程度のお布施
運搬費(遠方の場合)別途数万円程度のことも

正直なところ、「1平米 10万〜15万円」の範囲に処分費まで含まれているケースが多いですが、見積もりの内訳に「処分費」「運搬費」が別建てで書かれている場合は、合計額で比較するのが大切です。

費用の全体像は墓じまいの費用相場で詳しく整理しています。

業者ごとに見積もり項目の立て方が異なるため、合計額だけで比較すると判断を誤りやすくなります。複数の石材店・墓じまい業者から見積もりを取り寄せて内訳を見比べると、相場感とサービスの差が見えやすくなります。

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撤去された墓石の行方

「撤去された墓石はどこへ行くのか」。気にされる方が多いポイントなので整理しておきます。

撤去された墓石の多くは、産業廃棄物として処理されたあと、土木資材へリサイクルされます。

  • 道路の路盤材(アスファルトの下地)
  • 河川や港湾の護岸用石材
  • コンクリートの骨材

国が産業廃棄物のリサイクルを推進していることもあり、最終処分場へ埋め立てるよりも再資源化される割合が高まっています。

「自分の家のお墓だった石が、見えない場所で社会の役に立っている」と捉えると、気持ちが整理しやすくなる方もいるようです。

処分前にしておきたい確認

墓石処分を進める前に、次の点をあらかじめ整理しておくと、業者とのやり取りで困りません。

  • お墓の区画の大きさ(平米数)
  • 墓石の基数・サイズ・外柵の有無
  • 寺院・霊園の指定石材店制度の有無
  • 一部を手元供養として残したいか
  • 撤去後の供養(お焚き上げ)を希望するか
  • 撤去日の希望(閉眼供養と同日にするか別日にするか)

この情報を整理してから見積もりを依頼すると、提示される金額の精度が上がります。判断に迷う場合は、複数の石材店・墓じまい業者から見積もりを取り、内訳を比べてから決めるのも一つの方法です。

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よくある質問(FAQ)

墓石を自治体のごみ処理場に持ち込むことはできますか?

できません。墓石は産業廃棄物として扱われ、家庭ごみや一般廃棄物として自治体のクリーンセンターに持ち込めない決まりです。許可を持つ産業廃棄物処分業者経由での処分が必要です。

墓石の処分費用は撤去費に含まれていますか?

業者によって異なります。「1平米○万円」の表示価格に処分・運搬まで含まれていることが多いですが、別建てで請求するケースもあります。見積書の内訳で「撤去」「運搬」「処分」がそれぞれどう扱われているかを必ず確認してください。

撤去後の墓石はどうなるのですか?

多くは産業廃棄物として処分されたあと、路盤材・骨材・護岸用石材などの土木資材としてリサイクルされます。一部を切り出して手元供養用の置物や数珠に加工する選択肢もあります。

墓石供養(お焚き上げ)は必須ですか?

法律で必須とはされていません。寺院・霊園や石材店によって対応はまちまちです。「先祖の墓石をそのまま処分するのは気が引ける」という気持ちがある場合の選択肢として用意されています。費用は 1万〜3万円程度のお布施が目安です。

公営墓地の場合、業者は自由に選べますか?

自治体や霊園によって異なります。公営墓地でも指定石材店制度を採用していない場合は自由に選べることが多いですが、霊園内の作業ルールが定められているケースもあります。事前に霊園事務所に確認するのが確実です。

まとめ

墓石は産業廃棄物として扱われるため、自分で処分することはほぼ不可能です。許可を持つ業者に依頼するのが基本になります。

処分の主な選択肢は4つ。

  • 石材店・墓じまい業者に撤去+処分を一括依頼(最も一般的)
  • 一部を加工して手元に残す
  • 石材店の買取・再利用(需要は限定的)
  • お焚き上げ・墓石供養

業者選びでは「産業廃棄物処分業の許可」「マニフェストの発行」「指定石材店制度の有無」の3点を確認するのが基本です。費用の相場は 1平米あたり 10万〜15万円程度(処分費込み)が一つの目安になります。

撤去された墓石は、多くが土木資材としてリサイクルされます。「処分」というより「形を変えて社会に使われていく」と捉えると、気持ちが整理しやすくなる方もいます。

次に読む記事は、状況に応じて選んでください。


本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法律・税務の個別アドバイスではありません。具体的には司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。記載内容は記事公開時点の情報に基づいています。

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