「いくらかかるか分からなくて、業者に連絡できないまま時間が過ぎている」
親が亡くなった後の遺品整理で、そういった状況になる方は多いです。費用の見当がつかないと、業者に問い合わせる気にもなれません。
この記事では、遺品整理の費用相場を部屋の広さ別に整理し、業者を選ぶときに確認すべきポイントをまとめました。
「何から始めればいいか」という全体像を知りたい方は、まず実家が空き家になったら最初にやることをご覧ください。
遺品整理とは?片付けとの違い
遺品整理とは、故人が残した荷物を整理・処分する作業のことです。
一般的な引越しの片付けと異なるのは、次の点です。
- 荷物の中に重要書類(通帳・実印・権利書など)が混在している
- 捨てていいものかどうか、家族で判断しながら進める必要がある
- 故人の持ち物に向き合う精神的な負担がある
遺品整理を専門とする業者は、こうした事情を理解した上で作業を行います。単に「ものを運び出す」だけでなく、貴重品の探索や形見分けのサポートを行う業者も多いです。
一方、「荷物はすでに仕分け済みで、処分するだけ」という場合は不用品回収業者でも対応可能です。状況に合わせて使い分けると費用を抑えられることがあります。
詳しくは実家の片付け業者の選び方と費用相場で解説しています。
遺品整理の費用相場(部屋の広さ別)
費用は荷物の量・作業人員・地域・買取の有無によって変わります。以下は目安として参照してください。
| 部屋の広さ | 目安の費用 | 作業時間の目安 |
|---|---|---|
| 1K・1R | 3〜8万円程度 | 半日〜1日 |
| 1LDK〜2LDK | 8〜18万円程度 | 1〜2日 |
| 3LDK | 15〜25万円程度 | 2〜3日 |
| 4LDK以上・一戸建て | 20〜50万円程度 | 2〜5日 |
費用の目安はあくまで参考です。荷物が多い・大型家具が多い・2階建て・エレベーターなしの場合は上限を超えることがあります。
1K・1Rの場合(目安: 3〜8万円程度)
一人暮らしだった親の部屋の整理で、最も多いパターンです。
荷物が少なければ半日で終わることもあります。ただし、荷物量・エアコンや大型家電の有無・部屋の状態によって費用の幅は大きく変わります。
「一人暮らしだから荷物は少ないはず」と思っていたら、収納の中に大量の荷物があったというケースはよくあります。業者への依頼前に実際の荷物量を確認しておくと、見積もりのズレを防げます。
1LDK〜3LDKの場合(目安: 8〜25万円程度)
夫婦で住んでいた実家や、複数の部屋がある場合はこの区分になることが多いです。
家具・家電の種類が増えるため、費用も大きくなります。長年住んでいた家だと収納の中に想定外の量が詰まっていることがあります。
事前に家族で「残すもの」「形見にするもの」の大まかな仕分けをしておくと、業者の作業時間が短縮され費用を抑えられることがあります。
4LDK以上・一戸建ての場合(目安: 20〜50万円程度)
一戸建ては部屋数だけでなく、庭の荷物・物置・床下収納・屋根裏なども対象になることがあります。
状況によっては50万円を超えることもあります。一括見積もりを取る前に、対象範囲(庭・物置を含むかどうかなど)を自分でも整理しておくと、見積もりのズレを防げます。
実家全体の整理の流れについては、実家じまいの流れと失敗しやすい点もあわせてご覧ください。
費用が変わる主な要因
同じ間取りでも、以下の要因によって費用が大きく変わります。
荷物の量が最も影響します。間取りが小さくても荷物が膨大であれば、費用は大きくなります。業者に正直に荷物の状況を伝えることが適正見積もりの前提です。
大型家具・家電の有無も費用に関係します。冷蔵庫・洗濯機・エアコンはリサイクル法の対象品で、処分に費用がかかります。業者によってはリサイクル料金を別途請求することがあります。
建物の状況も影響します。2階建て・エレベーターなし・搬出経路が狭いといった条件が重なると、作業の難易度が上がります。
買取品の有無も費用に関わります。家具・家電・貴金属・着物などが買取対象になると、その分が作業費から差し引かれるケースがあります。ただし買取額は業者によって差があります。
信頼できる業者の選び方(5つのポイント)
国民生活センターは、遺品整理・不用品回収における追加料金や作業内容をめぐるトラブルに注意を呼びかけています。
以下の5点を確認することで、信頼できる業者を見分けやすくなります。
廃棄物処理の許可を持っているかを確認してください。家庭の不用品やごみの回収は、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可または委託が基本です。業者自身にその許可がない場合は、どの許可業者と連携して処分するのかまで確認してください。産業廃棄物処理業許可だけでは家庭ごみの回収に使えない場合があります。
現地見積もりを実施しているかどうかも重要な目安です。電話やネットだけで金額を決める業者は避けてください。荷物の量を実際に見ないと正確な金額は出せないため、当日に「想定より多い」と追加費用を請求するトラブルの原因になります。
見積書を書面で発行しているかも確認してください。作業内容・人員・追加費用が発生する条件が明記された書面をもらうことが基本です。口頭だけの説明で契約するのは避けてください。
遠方などで立ち会えない場合も珍しくありません。その場合は、残す物の確認方法・作業中の写真共有・作業後確認の手順が明確かどうかを事前に確認してください。これらを明示してくれる業者は信頼の目安になります。
複数社で比較しているかどうかも大切です。1社だけでは相場も危ない業者かどうかも分かりません。2〜3社以上に見積もりを依頼し、金額・内容・追加費用の条件を並べて比較してから判断してください。一括見積もりサービスを使うと、複数社への問い合わせを一度でまとめられるため手間を減らせます。
まだ依頼するかどうかを決めていなくても、相場を知るだけで家族と「どこまで自分たちでやるか」を相談しやすくなります。
見積もりで確認すべきこと
見積もりを取る際に、次の点を必ず確認してください。
- 作業人員の人数と費用の内訳
- 大型家具・家電のリサイクル料金は含まれているか
- エアコンや冷蔵庫など、リサイクル法対象品の扱い
- 買取が発生した場合の精算方法(作業費から相殺するか、別途支払いか)
- キャンセル料が発生するタイミング
- 庭・物置・屋根裏など、部屋以外の場所の扱い
「今日決めてくれれば〇〇円引き」といった即決を促す言葉は、国民生活センターが注意を呼びかけている悪質業者に多いパターンです。その日に決める必要はありません。
複数社の見積もりが出揃ってから判断する習慣をつけてください。
よくある失敗と注意点
追加請求のトラブルが最も多いパターンです。見積もり時に含まれていなかった費用を当日に請求されるケースがあります。「想定より荷物が多い」「大型家電があった」「処分が難しいものがある」といった名目で追加費用を請求する業者がいます。対策は、見積もり時に荷物の状況を正直に伝えること、追加費用が発生する条件を書面で確認することです。
大切な遺品が処分されてしまうトラブルも起きています。当日の立ち会いと、重要なものの事前確保が最大の対策です。通帳・実印・権利書・現金・貴重品・写真など、絶対に処分してほしくないものは業者が来る前に別の場所に移しておいてください。捨ててはいけない書類については実家の片付けで捨ててはいけないものにまとめています。
訪問見積もり後のその場での契約も注意が必要です。見積もりのためだけに来てもらったつもりが、「今日決めれば安い」と押し切られて契約してしまうケースがあります。訪問後にしつこく勧誘された場合は、特定商取引法の「訪問販売」に該当し、クーリング・オフができる場合があります。トラブルになった場合は消費者ホットライン「188」に相談できます。
よくある質問(FAQ)
遺品整理の費用は値引き交渉できますか?
交渉自体は可能ですが、極端な値引きを受け入れる業者は後から追加請求をしてくるリスクがあります。複数社から見積もりを取って相場を把握し、内容の比較で判断するほうが安全です。
遺品整理に相続手続きは関係しますか?
直接の関係はありませんが、遺品の中に相続手続きに必要な書類が含まれている場合があります。通帳・実印・権利書・保険証券は業者に依頼する前に自分で確保しておいてください。
業者が来た日に契約しないといけませんか?
その場で決める必要はありません。「今日決めれば安くする」と急かす業者は、国民生活センターも注意を呼びかけているパターンです。見積もりを複数社で取り比較してから契約してください。
遺品整理士がいる業者のほうがいいですか?
遺品整理士は一般社団法人・遺品整理士認定協会が認定する資格で、遺品の扱いに関する知識があることの目安になります。ただし資格だけで業者の善悪は判断できません。廃棄物処理の許可の有無・現地見積もりの実施・口コミなども合わせて確認してください。
自分で整理を始めたが途中で続けられなくなったら業者に頼めますか?
頼めます。「途中まで自分でやったが残りを依頼したい」という相談も業者は受け付けています。その場合も、残りの荷物量を正確に伝えた上で現地見積もりをしてもらうことが基本です。
まとめ
遺品整理の費用は部屋の広さや荷物の量によって大きく異なります。1K・1Rであれば3〜8万円程度、1LDK〜3LDKは8〜25万円程度、4LDK以上の一戸建ては20〜50万円程度が目安です。
業者を選ぶときは、一般廃棄物収集運搬業の許可(または連携業者の確認)・現地見積もりの実施・見積書の書面化という3点を最低限確認してください。複数社で比較し、その日に即決しないことが後悔しないための基本です。
次に読む記事は、今の状況によって変わります。
- 業者の種類の違いをもう少し詳しく知りたい方 → 実家の片付け業者の選び方と費用相場
- 片付けの前に捨ててはいけないものを確認したい方 → 実家の片付けで捨ててはいけないもの
- 実家じまい全体の流れを把握したい方 → 実家じまいの流れと失敗しやすい点
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、 法律・税務の個別アドバイスではありません。 具体的には司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。 記載内容は記事公開時点の情報に基づいています。
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