親が亡くなった。あるいは施設に入ることになった。
急いで葬儀や手続きに追われ、実家のことはひとまず後回しにしてしまっている、という方は多いです。でも空き家になった実家は、何も手を打たないまま時間が経つほど、対処が難しくなっていきます。
全部を一度にやろうとする必要はありません。大事なのは、緊急度の高いものから順番に動くことです。
この記事では、空き家になった実家で最初にやることを「今週やること」「1か月以内」「3か月以内」の3段階に分けて整理しました。
今週やること(最初の1週間)
空き家になった直後に対応しておかないと、後で困ることが出てきます。まずこの3つだけ済ませてください。
郵便物の転送届を出す
実家宛の郵便物を放置しておくことは、防犯上のリスクになります。郵便物が積み重なると「誰も住んでいない」と外から分かってしまい、不審者に目をつけられやすくなります。
転送届は郵便局の窓口、またはe転居(オンライン・スマートフォンアプリ)から申し込めます。届出から1年間、実家宛の郵便物を指定した住所に転送してくれます。
注意点が2つあります。転送できないものがあること(電気・ガスの検針票など一部の冊子)、そして1年で期限が切れるため更新が必要なことです。更新を忘れると郵便物がまた溜まり始めます。
ライフラインの契約を確認し、判断する
電気・水道・ガスをどうするかは、「これからどう使うか」によって変わります。
片付けに何度か通う予定があるなら、電気と水道はしばらく残しておく方が現実的です。照明なしでの作業は危険ですし、清掃にも水が必要です。
ガスについては、使わないなら早めに解約した方が安心です。ガス漏れのリスクをゼロにしておくのが基本です。
冬場は水道管の凍結にも注意が必要です。長期間訪れない場合は、水道管の水抜きをしておくか、業者に相談してください。
| ライフライン | 片付けに通う場合 | しばらく使わない場合 |
|---|---|---|
| 電気 | 残す(作業に必要) | 最低限の契約維持 or 解約 |
| 水道 | 残す(清掃に必要) | 凍結防止確認のうえ維持 |
| ガス | 解約を検討 | 早めに解約 |
建物の外観・内部をざっと確認する
一度だけでいいので現地に足を運び、以下を確認してください。
- 屋根・外壁に雨漏りや破損がないか
- 庭木が伸びて隣の敷地や道路に越境していないか
- 玄関・窓の鍵がしっかりかかっているか
- 室内に水漏れの形跡がないか
問題が見つかった場合は、そのままにすると劣化が加速します。修繕が必要かどうかを早めに判断してください。
1か月以内に済ませておきたいこと
緊急性は低いですが、後回しにすると後悔しやすいことが2つあります。
貴重品・重要書類を必ず確認する
実家の片付けを始める前に、必ずこれをやってください。
権利書(登記識別情報)、通帳、保険証券、実印、印鑑登録証明書、遺言書、契約書類など、相続手続きに必要なものが実家に残っている可能性があります。うっかり「捨てる袋」に入れてしまうと取り返しがつきません。
引き出しの奥、押し入れの奥、仏壇まわりは特に確認が必要です。正直なところ、ここを飛ばして片付けを進めてしまい、後から大慌てで探すことになるケースは非常に多いです。
近隣の方へひと言伝える
空き家になったことを近くのお宅に伝えておくと、異変があったときに連絡してもらいやすくなります。「しばらくの間、空き家になります。何かあればご連絡ください」という一言で十分です。
近隣との関係が良好であれば、郵便物のポスト確認や、不審者があった場合の情報提供につながります。
3か月以内に「どうするか」の方針を決める
片付けや売却の具体的な話は、相続手続きが落ち着いてからで構いません。ただ、方針が決まらないまま1年2年と空き家を放置すると、思わぬリスクが生じます。
放置すると起きること
2023年12月に改正空き家対策特別措置法が施行されました。この改正で「管理不全空家」という区分が新設されています。
- 管理不全空家: 窓や外壁が破損しているなど、このまま放置すれば問題になりうる状態の空き家
- 特定空家: すでに倒壊の危険など深刻な問題がある空き家
どちらも、市区町村から勧告を受けると、住宅用地特例(固定資産税の軽減措置)の対象外になる場合があります。小規模住宅用地の特例が外れると、固定資産税の負担が大きく増える場合があります。土地の条件によっては、従来よりかなり重くなることがあります。
「いつか片付けよう」と放置している間に、建物の劣化が進み、解体費用がかかってしまうケースも少なくありません。
方針の選択肢
実家の今後については、主に次の選択肢があります。
- 売却する: 最もシンプル。維持費と手間がかからなくなる
- 賃貸に出す: 空き家のまま維持するよりも収入が得られる
- 自分たちで使う・残す: 週末利用や将来の拠点として
- 解体して更地にする: 建物の維持費はゼロになるが解体費用がかかる
どれが正解かは、立地・建物の状態・相続人の意向によって変わります。まずは不動産会社に査定を依頼して、現在の価値と活用可能性を把握するところから始めると判断しやすくなります。
片付けを本格的に始める前に、処分・活用の方針をある程度決めておくと、何を捨てて何を残すかの判断がしやすくなります。
まとめ:最初の1週間で動けば、あとは落ち着いて進められる
空き家になった実家でやるべきことは多く見えますが、最初の1週間は3つだけです。
- 郵便物の転送届を出す
- ライフラインの契約を確認・判断する
- 建物の状態をざっと確認する
この3つを済ませれば、あとはそれぞれのタイミングで落ち着いて対応できます。
次のステップとして、片付けを始める前に「捨ててはいけないもの」を確認しておくと、後悔が防げます。
よくある質問
- Q実家が空き家になったら、まず何をすべきですか?
- A最初の1週間は、郵便物の転送届の提出、ライフライン(電気・水道・ガス)の契約確認、建物の外観チェックを優先してください。特にガスは安全面から早めに確認が必要です。すべてを一度にやろうとせず、緊急度の高いものから順番に対応すれば大丈夫です。
- Q電気・水道・ガスはすぐに解約した方がいいですか?
- A片付けに通う予定があれば、電気と水道は残しておくのが現実的です。作業中に照明と水が必要になります。ガスは安全面から使わないなら解約が基本です。売却や賃貸の方針が決まるまでは、電気・水道は最低限の契約を維持しておくことをおすすめします。
- Q管理不全空家・特定空家に指定されるとどうなりますか?
- Aどちらも、市区町村から勧告を受けると住宅用地特例(固定資産税の軽減措置)の対象外になる場合があります。小規模住宅用地の特例が外れると、固定資産税の負担が大きく増える場合があります。土地の条件によっては、従来よりかなり重くなることがあります。放置を続けずに管理方針を早めに決めることが重要です。
- Q遠方に住んでいて実家の管理ができない場合はどうすればいいですか?
- A地元の不動産会社や専門の空き家管理サービスに依頼する方法があります。月数千円〜数万円程度で定期巡回・郵便物の転送・簡易清掃を代行してもらえます。まずは地元の不動産会社に相談してみるのが入口として簡単です。
- Q貴重品の確認はいつすればいいですか?
- Aできるだけ早い段階で行ってください。権利書・通帳・保険証券・実印など、相続手続きに必要な書類が実家に眠っているケースが多く、片付けを急いで誤って処分してしまうと取り返しがつきません。片付けを本格的に始める前に必ず確認してください。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的には司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。
